ニューヨークファッション情報セミナー
同セミナーは、アパレル業界人、マスコミ関係者の間でも人気が高く、今回で15回目。
アパレル業界の現状を3つのテーマを切り口に分析し、それぞれの角度からファッション界の姿を立体的に解説していただきました。
 
ニューヨークは、ファッションビジネスの最先端都市です。世界中から、多くの才能と情報が集まり、アパレル業界をリードしています。
発信されるタイムリーな情報は、いつも新しい要素を含んでいます。それを分析することで、世界のファッションがどこに向っているのか、次に出てくる新しいファッションの芽と言えるものは何なのかが、おのずと見えてきます。
「ニューヨークの動きを知り、先を読む力を身につける」。これを実践することで、新ジャンルでビジネスチャンスをつかむ可能性もあるのです。
 
近年、米国では「グリーンムーブメント」が注目されています。 
代表的なカテゴリーに、「オーガニック・フード」、「ハイブリッド車」、「グリーンビルディング」、「エコファッション」があります。
エコファッションの分野では、農薬や肥料を使わずに育てた綿花や、竹、大豆、また有機牧畜の羊、アルパカ、アンゴラの毛などが、衣服の原材料として脚光を浴びはじめています。
2007-08年の秋冬ホリデーシーズンの「バーニーズグリーン」キャンペーンが、11月からスタートしました。レディスウエア、メンズウエア、ベビー&子供服からインテリアに至るまで、全カテゴリーにエコ・フレンドリー商品を展開。
バーニーズ・ニューヨークが本格的に、エコ・フレンドリーの分野に進出したことで、衣料の世界においても、エコがこれまで以上に注目されるはず。
今までのエコ商品にファッション性がくわわり、より完成度の高いアイテムが日本の店頭の一角をしめる日も、そう遠くないでしょう。
 
 

Linda Loudermilk
(リンダ・ラウダーミルク)

 
ロサンゼルスのコレクションでも作品を発表しながら継続的に人気を得ているブランド。ヨーロッパのエコテクスから認可を得ている素材を使った服で、クオリティの高いデザイン性をほこっています。自然はデザイナーのインスピレーションの源であり、自然は尊重すべき、というコンセプトからラグジュアリー・エコという独自のカテゴリーでブランドをスタートさせました。
 

Edun(イードゥン)

2004年ロックバンドU2のボノと彼の妻アリ・ヒューソン、そしてデザイナーのローガン・グレゴリーが社会的に意味を持つブランドとして設立。オーガニック素材を使用し、良い商品作りを目指すと同時に、開発途上国、特にアフリカにおいて雇用の需要促進を図っています。
 
ニューヨークのファッション業界で、近年注目されている地域「ミートマーケット」「ソーホー」「ロアー・イースト・サイド」。そこに、新しくできたショップの中から、数店舗をピックアップしてご紹介しましょう。
 
この界隈は、人気のショップ、レストラン、ホテル、ギャラリーが集まる話題のエリア。
DVFのイニシャルが大きく描かれたガラス張りのファサードは、ブティックと表通りが一体となった魅力的な空間です。
スペースシップを思わせるダイヤモンド形の売り場は、2100平方フィートの、なだらかに広がるフロア。ホワイトの天井には円形の鏡が散りばめられ、中央にDVFピンクと呼ばれる鮮やかなカラーソファーがひと際目立っています。
壁面は、ハンガーラックとディスプレイ棚がステージのようにデザインされています。
店内には最新コレクションに加えてDVFのヴィンテージ、DVFビューティー、DVFのためにH.スターンが特製したジュエリーをそろえています。
 
2年前のデビュー当初からデザイナーのフィリップ・リムの夢だったというブティックが、この夏オープン。
1600平方フィートの奥行きのある売り場は、床板用のオーク材を水平に積み重ねたテクスチャーのある壁面とピュアな白壁が向かい合い、来店客を奥まで誘います。
フロアの中央には、見通しを良くした低いルーサイトのディスプレイ台を配置。中庭に面した地下は、外装に使う灰色のブロックをフロアに敷き詰め、ステンレスのハンガーパイプとミラーで囲まれています。
店内にはウーメンズ&メンズのコレクションやバッグ類のほか、人気アクセサリーのブランド「ビング・バング」のデザイナーとコラボで製作した純金とダイヤモンドのネックレスなど、ブティック限定の商品が並んでいます。
 

KAIGHT(ケイト)

 
2006年にオープンしたエコ・ブティック。オーナーのケイト・マックグレゴーが独自でセレクトしたアメリカとイギリスのエコ・ファッションの新進デザイナーズ・ブランドをそろえています。
 

DEAR 55
(ディア・フィフティーファイブ)

2007年5月にオープン。デザイナーズ・ブランドのヴィンテージと地元デザイナーのアイテムのほか、オリジナルブランド「ディア/DEAR」を扱っています。個性的でコーディネートしやすいアバンギャルドなスタイル。オリジナルのジュエリーは、東京のエストネーションでも販売されています。
 
今季のニューヨークコレクションは、ドバイやイスタンブールなど中近東から来たバイヤーの姿が多く見られました。彼らの多くは、超高級ブランドを取り扱っているショップのバイヤー。他店と差別化をはかるために、ニューヨークの新進デザイナーのアイテムを買い付けに来たようです。
また、ヨーロッパからも多くのバイヤーが集まりました。現在はユーロが高くなっているため、アメリカのデザイナーにとっては有利な状況。ニューヨークのマーケットは、非常に活気があります。
2008年春夏ニューヨークコレクション発表作品を、テーマ別、シルエット別などさまざまな角度から分析していきましょう。
 

最も多くのデザイナーが選んだテーマが、トラベル/ジャーニー。旅を通して得られるインスピレーションを、デザインに反映させたものです。サファリ・シック、トライバル・エレガンス、ジェット・セッターなど、どこに旅をするかによってコレクションのインスピレーション源は異なりますが、上品なセクシーさが共通のキーポイントでした。
次にマニッシュスタイル。これは、大きく分けて2種類。ミリタリーマニアという、陸軍・海軍のユニフォームからインスパイアされているスタイルと、ボーイフレンドクロゼットという、ボーイフレンドの服をちょっと拝借という感覚で、自分の服としてコーディネートしたスタイル。ユニセックスのファッションが目立ちました。
続いて多かったテーマが、エコファッション。ヤングデザイナーを中心に、オーガニック素材を使ったエコ・フレンドリーなアイテムをコレクションにくわえるデザイナーが多くいました。
 
 

シルエットとスタイリングについて、3つのタイプをご紹介。
まず、「アワーグラスシルエット&ウエストマーク」。デザイン切り替えやワイドベルトでウエストを絞り、ポイントにした砂時計型のフェミニンなシルエットが注目されました。
次に「ロング&フロー」。流れのあるロング丈のドレスを用いたスタイリング。バイヤーたちは、このスタイルを、街着として買い付けに来ていました。
そして、「トランスペアレンシー」。これは、中に着ているアイテムを透かせて見せる、薄い素材の重ね着スタイルのこと。中に着るものを外へ出し、外のものを中に入れるという「逆方向の服の見せ方」にこだわった「シュールリアリズム」がテーマになっています。
そのほか、コレクション作品を、アイテム&ディテール別、素材別、カラー別など、細部に渡り、分析・解説。タイムリーな世界の流行を知り、「未来のファッションのあり方」を予想する内容となりました。
 
 
ポールポワレの衣装展が、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催され、注目を集めました。
ポールポワレとは、20世紀初頭、「ファッションの王様」と呼ばれた人物。女性のウエストを締めつけたコルセットを追放した、女性服の革命者とも言われています。
美術館では、歴史的価値のあるクチュール作品を紹介していました。会場内は、1920年代の絵画を修復している職人が、当時のムードを再現。装飾や絵画を含む展示方法が、非常に魅力的でした。
細かいビーズ細工がほどこされた服や、アール・デコ調の香水の瓶など、貴重な作品を展示。
また、スクリーンに、「型紙が裁断され、徐々に服になっていく過程」を、三十秒ほどの映像にまとめて放映。「1枚の布から、素晴らしい洋服が出来上がる」ことを表現しているものでした。この斬新な表現方法は、メトロポリタン美術館が初めて採用したもので、今後、世界中の衣装展で使用されることになると予感させます。
 
   
礒野信江氏プロフィール
   
1982年 (株)ミクラ社からニューヨーク市場調査員として渡米。
1983年 ニューヨーク州立ファッション工科大学(F.I.T.)
ファッション・バイイング・アンド・マーチャンダイジング学科(FBM)に留学、
1985年に卒業。
1989年 業界誌「ギャップジャパン」のニューヨーク特派員を務める。
その他業界誌にも多数執筆。
1990年 ノヴァ・インターナショナルサービス設立。
 
ファッション関連企業、学校、メディアを対象にしたニューヨーク研修、市場調査、取材のためのコーディネート、通訳、調査報告書作成、買い付けコンサルティング等のサービス業務を実施。
また、日米の学校および教育機関、各種組合団体、企業での講演も多数実施。
アメリカ在住。ノヴァ・インターナショナルサービス代表
   
 
卒業生の方へ 交通アクセス